目で見て,手で触れて,耳で聞き,流れの本質に迫る
データを謙虚に見つめ,自然から学ぶ
飯田研では,前身である蒔田研究室(豊橋技術科学大学 蒔田秀治教授)からの伝統である風洞実験を中心とした「乱流の制御」に関する基礎研究と,自動車や新幹線などの高速車両で問題となっている空力騒音に関する実用研究をを行なう.この他にも流れの数値解析やマイクロ飛行機に関する研究,流体計測システムの開発など流体力学に関する様々な研究に取り組む.
基礎研究の結果を元に,自動車や鉄道なの産業製品の性能を向上を図ることを目指す.研究のための基礎研究ではなく,性能向上だけを目的とした応用研究ではなく,技術を科学するという技術科学大学の開学精神と,実務と基礎を交互に学ぶらせん型教育を実践していく.
旧蒔田研のモットーは,「実験結果に対して謙虚であれ」「自然から学べ」であった.ただし,自然は学ぶには手ごわい存在で,たた流れを測定しても,眺めてもなかなかその本質には迫れない.そこで,蒔田研では,「対象となる流れを制御することにより,現象の本質を抽出する」こと,「流れを抽出するための独自の計測器を開発する」ことにより,乱流現象を解明していった
飯田研は,この伝統を引き継ぎ,流れを実際に身近なものとして感じながら,その本質に迫りたい.実験装置や計測器を自作し,自分の目で現象をしっかりと観察し,流れを肌で感じ,流れから発生する音を実際に聞き,実験を通じて,流れの性質を経験的に知るとともに,理論に裏付けられた地に足のついた研究を行ないたい.もちろん,実験だけでなく,数値流体解析も「現象を理解するためのツール」として積極的に導入する.
研究そのものを楽しもう!
研究室は,自らの知的好奇心を満たすべく,日夜研究に励み,新たなことにチャレンジしていく,知の共同体でありたい.
技術科学大学は普通高校生,工業高校生,高専生,留学生,社会人と様々なバックグランドの人々が集まっている.技術科学大学の評価は,いわゆる入学偏差値で測ると必ずしも高くないかもしれない.でも,だからこそ,ここで学ぶ学生は自らを律し,社会に出たときに評価されるよう大学にいる間に努力すべきである.もし,貴方が今,実力が不足しているのなら,4年間を無駄にせず,大学院を修了するまでに,自分自身を高めてほしい.大学の評判が低いというだけでは,大学も自分の評価も変わらない.もし,今の評価が低いのなら,一層努力するべきである.
卒業するときに,大学に入る前よりも成長していないのなら,大学に来たことが無駄になってしまう.貴方がもし,技科大の世間での評判が低いと嘆く在校生なら,あなた自身が成長し,社会で活躍することによって大学の評判を高めてほしい.自分と自分の出身大学は駄目だというよりも,自分も大学も成長したといえるほうが,より豊かな人生ではないだろうか.
もし,貴方が,教員に言われた実験や作業を義務として行なうのであれば,研究は楽しいものではないだろう.実験を正確に行なうには恐ろしいほどの神経を使い,どんなに努力しても失敗に終わるケースもある.10回実験を行って,意味のある結果が1回しかでないかもしれない.一生懸命実験した結果を,他所の大学が自分より早く発表してしまうかもしれない.実験に追われ,寝る時間も短くなり,遊びに行く時間が減れば,楽しいとはいえない.そんな状況では,良い実験はできないし,実験を行っても多分長続きしないだろう.
研究を推進するためには,研究に惚れ込む必要がある.研究を,自然を学ぶこと自体を好きになる必要がある.「現象の本質を理解したい.」「自分の技術を社会に還元したい」.この気持ちを忘れずに,研究を楽しむことが成功への第一歩である.
25年前に航空高専から豊橋技術科学大学に編入し,蒔田教授から研究と人生について学んだ.日立製作所機械研究所(1989年~2001年),工学院大学(2001年から2008年)では,日本や世界の一流の研究者,技術者と仕事をしてきました.技術科学大学の卒業生なら,世界の第一線の技術者と仕事をしていくポテンシャルがあると,私は信じています.
乱流について学びたい学生は,飯田研に来て,一緒に研究を楽しみましょう.